Anser (回答)

SKD11は、硬度HRC60以上の硬度にするために
低温で焼き戻しすることが通常ですが、
硬度をHRC60未満にする場合に高温戻しをします。

これは強靭性が要求される場合や、
次工程にPVD処理がある場合は、高温戻しが必要となります。
SKD11のような合金鋼では、
焼き入れ時にすべてがマルテンサイトなどの焼き入れ組織にならずに
一部がオーステナイト状態で残留する鋼種が多いです。
これを残留オーステナイトといいます。

1回目の焼き戻しで残留オーステナイトをマルテンサイトに変態させ、
2回目の焼き戻しで本来の意味の焼き戻しということになります。
つまり硬化用では必ず2回以上焼き戻しを行う必要があると考えます。
また、焼き戻しが2回というのは
1回では残留オーステナイトが除去しきれない可能性があるからとも言われております。

なるべく除去しておくことが経年寸法変化防止と、応力除去にもなります。